はてなブログに投稿する個人的見解によるはてな解明日記

完全に個人的な見解で「なぜ」を解明します。

英雄か怪物か「イミテーション・ゲーム」

二週間に一度更新という超スローペースであるのにも関わらず、二週間更新が遅れる事でおよそ一ヶ月もの間音沙汰が無かったことに関して言うことがあるとすれば、大変申し訳ないというほかございません。

 


体感的にもしっかりと一ヶ月の流れを感じ取っていましたので、気づいたらブログの更新日を過ぎていたことということもなく、しっかりと自覚しながら、あ〜更新しないとなへへへ〜〜、、、うひょ〜〜〜!!みたいなテンションで過ごしていました。

 


この一ヶ月の間、思い返せば引っ越そう、と思い立ち、ネットで賃貸物件を眺め始めたことから始まり、ダーツを始めよう、と家用のダーツ盤をネットで検索し、ベッドを買おう、と「ベッド 安い」でネットで検索し、ジムに行こう、と近場のジムをネットで検索し、スポーツウェアを買おうとネットで検索し、検索し、検索し…
繰り返した果てになぜか「ベネディクト・カンバーバッチ」に辿り着くことに相成りました。

 


何がどうなって、どうつながったら最後に検索した覚えのある「スポーツウェア」から「ベネディクト・カンバーバッチ」に行き着くのかわかりませんが、iPhoneSafariを開くと、そこには見間違えようのない顔NO.1をぶっちぎりでゆく彼が佇んでいました。そうして、あ、「イミテーション・ゲーム」いいじゃん。と思い、ようやく重たい腰を上げ上げにしてブログを書き上げることにしました。そういうわけでまた二週間おきに更新再開します、よろしくお願いします。

 


・「イミテーション・ゲーム」とは

舞台は第二次世界大戦時のイギリス。ナチスドイツの用いる世界最高峰の暗号機、「エニグマ」を解読するために雇われた天才数学者、アラン・チューリングの物語です。

 


劇中で繰り返される台詞、「時として誰も想像できないような人物が、想像できないような偉業を成し遂げる」

この言葉が示す「誰も想像できないような人物」を表すように異質、かつ滑稽に描かれているアラン・チューリングさんですが、そんな彼が「想像できないような偉業」を成し遂げる過程を描いた映画です。 

 


今回は「アラン・チューリング」と彼を演じる「ベネディクト・カンバーバッチ」、それと「映画全体の印象」について焦点を当てて書いていこうと思います。

 

・天才数学者「アラン・チューリング

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気難しい天才ぶりが描かれているアラン・チューリング

彼の性格的な特徴として、
・コミュニケーション不全
・同性愛者
・傲慢
・浪費家(必要経費だが)
といったものが挙げられます。

このように優秀かつ傲慢、更にはコミュ障となれば、彼の言っていることが正しくとも、不信感やある意味では妬みからも周りには否定されがちです。そうして周囲からの信用を得られない彼は、劇中では誰にも期待されておらず、成功する事など期待されない、「誰も想像できない人物」となってしまっています。

 

実はサヴァン症候群だったのではないかと言われるアラン、サヴァン症候群には有能型と天才型の2通りがあります。
サヴァン症候群の特徴として、1分野で突出した才能を持っていると言われていますが、有能型はその個人の中だけで、天才型は一般的な人々を含めた上での突出した才能とされています。

 


アランは典型的な天才型サヴァン症候群の特徴を持っています。
言葉には本来の言葉のもつ意味とは別に、シチュエーション毎に異なる意味を持つことが多々ありますが、アランはその意味を理解できません。
物事を表面的に捉えることしかできない為です。いわゆるコミュ症な彼は、コミュニケーションがものをいうチームプレイでは信用を得られはしませんが、表面上の意味がそのまま本質的な意味となるものには、凄まじい力を発揮します。
例えば数学、科学はもちろんクロスワードパズルやちょっと関係は薄いかもしれませんが、一人で出来る長距離走なども得意だったそうです。

 

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コミュ症すぎるアランに戸惑うジョン。いい顔してます。
 

 

個人的アラン随一のセリフ

「偶然さ、壊れた時計も日に2度、正しい時を示す」

 

・「ベネディクト・カンバーバッチ」が演じるアラン・チューリング

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この手の天才に見られがちな特徴を見事に捉えています。
・断定的でどもりがちな喋り方
・コミュニケーション不全者の感情の高ぶり方
このような特徴を捉えたベネディクト・カンバーバッチさんはもう、アラン・チューリングそのものです。カンバーバッチさんの事を調べていた際、すごく印象に残ったセリフがありましたのでご紹介します。

 

スタートレックでジョン・ハリソンを演じた事について
「今回は、クランクインまでが2週間しかなかったので、事前に時間をかけての役作りは難しかった。だから、演技を続けながらジョン・ハリソンというキャラクターを進化させるという方法をとったんだ。上手くできたとは思っているけれど、恥ずかしながら数シーン、ハリソンになりきれてないところがある。僕しかわからないとは思うけど、やっぱりダメだよね」

 

 

このセリフから彼の演技に対する真摯さ、そして演じる上で本当に、「なりきって当然」という自分の中にさえもリアリティを求める姿勢が見られて、個人的にすごく好感を持てます。

 

 

映画終盤の彼の演技が個人的に非常にツボでした。風俗壊乱罪(同性愛の罪)によって有罪となり、マシン(クリストファー)と離れたくないが為に、化学的去勢を余儀なくされた彼は、訪ねて来た元婚約者ショーンの前で泣き崩れます。
その時のアランから漂う悲哀さは本当に哀れすぎて、素晴らしいものだったなと思います。これがいわゆるイケメンや美男子であれば、「絵」として完成されしまったならば、ここまでの悲哀さは出せなかったでしょう。個性的な顔をしているベネディクト・カンバーバッチだからこその技だったと思います。

 

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・映画全体の印象

見直してて思いましたが、随分硬派な映画だなと思いました。
もちろん、戦時下の映画ですからそんなにファッショナブルにしても仕方ないのですが。ほとんどのシーンで主役として写しているのは人だけですし、特別洒落たショットも見当たりません。
全体的に暗い雰囲気で、青みがかってるような印象を受けます。これだけだと、もっと落ち着いた印象を受けるものだと思っていましたがそうでもなく、何が原因なのかなーと思って見てたのですが、目を引かれるものが多いためでした。

 

・画面に映る人が多い

 

戦時下の軍関係であればもちろん、人は多いし、慌ただしく動いています。この映画もやはりその慌しさを物語とは関係ないけれど、画面の中で表現しているシーンが多く、そのため落ち着いた色味にも関わらず、ごちゃごちゃして見えています。それに加えて、個人的な印象ですが一昔前のイギリスの雰囲気って結構泥臭いというか、現在のスタイリッシュとはかけ離れています。言うなれば渋い。
それらが相まって、物語の舞台が戦場である事もあり、雰囲気まで硬派に仕上がっています。

 

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英国+列車+ツイードジャケット=渋い。

 

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戦時下のシーンでは多くの人が行き交っています。奥に映したいものを配置し、その前を通行人が横切る。たったそれだけのシーンですがこれが結構落ち着かない印象を抱かせます。

 

現代でのアラン・チューリング

レッチリーでの業績は国家機密であり、戦争終結後数十年の間、アラン・チューリングの為したことが知られることはありませんでした。

1952年に風俗壊乱罪(同性愛の罪)で逮捕され、ホルモン投与による化学的去勢を余儀なくされたアランは1954年、41歳で自殺します。エニグマ解読という偉業を為した英雄とは誰にも知られることなく、ホモセクシュアルの数学教授として。

 


その後、20年後の1974年夏、ブレッチリーでの活動が記された「ウルトラ・シークレット」が発売され、チューリング達の業績が世間に知られることとなり、チューリングの名誉回復を望む声が高まることとなりました。その成果もあり、2009年9月10日、戦後のイギリス政府によるチューリングへの扱いについて、首相のゴードン・ブラウンにより公式に謝罪されることとなります。

 

 

劇中で、アランが自分がマシンか、人間か。戦争の英雄か、それとも犯罪者かを問うシーンがあります。劇中で同僚、元婚約者、上司、様々な人から怪物と言われた彼でしたが、少なくとも現代の人間からは、人間であり、英雄として見られているようです。

 

 

追記 何を勘違いしたのか、アランがサヴァン症候群として紹介していましたが、正しくはアスペルガー症候群でした。コミュニケーション不全と1分野に限る能力の高さには相違ないので、修正はしません。